
なぜ奈良県の老舗呉服店は顧客が2.2倍に増えたのか?二人三脚で歩んだ1年間の軌跡
プロジェクトメンバー
- 黒須 仁美(free web hope.inc)Writer
- カク ユリム広告運用
創業95年、奈良県天理市で着物文化を伝え続けてきた株式会社桂裳苑 森本呉服店さま(以下、桂裳苑さま)。
時代の波にもまれながらも、成人式の振袖事業を中心に新たな道を切り拓いています。
「700件のDMを手配りして...もう限界だと思いました」
そう語るのは、4代目であり常務取締役の森本啓介さん。
4代目として家業に戻り、手探りで集客に奔走する日々の中、Webマーケティングが突破口となり、売上227%・予約168%・成約率245%を達成しました。
今回は、Web集客の可能性に注目し、free web hope(以下、FWH)と共に事業を大きく成長させた森本さんに、伴走支援を行ったコンサルタントのカクがお話を伺いました。
老舗がどのようにデジタル時代を乗り越え、劇的な成果を生み出したのか。
その挑戦の舞台裏と、現場のリアルな声をぜひご覧ください。
今回の主役
右:森本啓介さん(株式会社桂裳苑 森本呉服店 専務取締役)
京都府立大学卒業後、2016年に株式会社マイナビに入社し、5年間で約500社の採用をサポート。その後、株式会社水星で宿泊施設・商業施設のブランディングプロジェクトを手がけ、プロデュース事業部の立ち上げを経験。2023年4月、95年続く家業である桂裳苑に戻り、専務取締役として振袖事業(販売・レンタル・前撮り撮影)や趣味の呉服向け事業、着付け教室・クリーニング相談など、多岐にわたる事業を推進。
左:郭 維淋(カク ユリム / free web hope コンサルタント)
韓国出身。2023年に新卒でfree web hopeに入社し、広告運用者としてキャリアをスタート。現在はリスティング広告やSNS広告の運用・改善を担当。データに基づく改善提案とスピーディーな実行力で、月間数千万円規模の広告アカウントを複数管理し、顧客からの信頼を獲得している。
抱えていた問題
・Web広告運用(設定・PDCA・目標設計)に限界を感じていた
・リスティング広告における安定的な成果定義とコスト投入計画が不明確だった
・効果検証の方法が手探りで、「何を成功とするか」が分からなかった
free web hopeが行ったこと
・リスティング広告を主軸としたWeb広告運用支援
・LPOアドバイスと効果検証方法の明確化
・マーケティング計画・予算設計のサポート
得られた成果
・昨年対比 売上227%、予約168%、成約率245%向上
・フォーム遷移率:7.95%→13.88%・完了率:8.61%→17.77%と大幅改善
・再現性あるノウハウとマーケティング計画の解像度向上
・効果検証・LP/広告の見方・考え方の明確化
目次
- 「経営者としての経験を積んでから」95年老舗の4代目が帰ってきた理由
- 苦悩と決断。アナログ集客からWeb集客への転換点
- 昨対比227%。事業の成長を生んだ伴走支援の全貌
- 来年は売上2倍。事業をもっと面白くする挑戦へ
- 編集後記:これは二人の覚悟が交差した物語
「経営者としての経験を積んでから」95年老舗の4代目が帰ってきた理由
カク: 森本さん、今日はお時間ありがとうございます!やっと直接お会いできて、とてもうれしいです。まずは桂裳苑さまについてご紹介いただけますか?
森本: こちらこそ、奈良までお越しいただきありがとうございます。桂裳苑は奈良県天理市で95年ほど呉服の小売りをしています。主に、成人式のお嬢様向けの振袖販売やレンタル、前撮り撮影など、成人式に関わるサービスを中心に展開しています。また、趣味の呉服や和装小物の販売も行っており、地域のお客様に長くご愛顧いただいています。家業として、私自身も小さい頃からこのお店の雰囲気に親しんできました。
カク: 森本さんは、家業を継ぐまでにさまざまなご経験を積まれたんですよね。社会人としては、どんなキャリアを歩まれたんでしょうか?
森本: もともと「いつかは家業を継ぐ」という思いはありましたが、すぐに戻るのではなく、まずは外の世界で経営やビジネスの現場を経験したいと考えていました。新卒では株式会社マイナビに入社し、人材業界で約5年間、企業の採用支援に携わりました。さまざまな業界・規模の会社と関わる中で、経営や組織づくりの現場を間近で見ることができたのは大きな財産です。
その後、株式会社水星に転職し、宿泊施設や商業施設のブランディングやプロデュースを担当しました。水星時代は、お客様の課題を深掘りし、ブランドの立ち上げやプロジェクト推進に携わる中で、「売れるものを作る」視点や、経営者として必要なスキルを身につけることができました。これまでの経験で得た知見やネットワークが、今の桂裳苑での挑戦に大きく活きていると感じています。
カク: そのご経験が今につながっているんですね。2023年4月に桂裳苑さまに戻ってこられてからは、どのようなことに取り組まれていますか?
森本: 現在は主に振袖事業を担当しています。成人式のお嬢様向けの振袖販売やレンタル、前撮り撮影など、成人式に関わること全般ですね。私たちが大切にしているのは「着物そのもの」へのこだわりです。最近は化学繊維の着物も増えていますが、桂裳苑では従来の絹など伝統的な生地を使った着物を中心に取り扱っています。
実は森本さん、家業に戻った今も、伝統を守るだけでなく新たな挑戦を続けています。
たとえば「奈良から発信するJapanese Quiet Luxury」という新しい方向性を模索し、長く受け継がれてきた伝統と現代の感性、その両方を大切にしながら、お客様にとって一生に一度の振袖選びをお手伝いしているのです。
苦悩と決断。アナログ集客からWeb集客への転換点
カク: 私たちが関わる以前は、どのように集客をされていたんでしょうか?
森本: 本当に昔ながらのやり方ばかりでした。ダイレクトメールのパンフレットも、業者に頼むと費用がかかるので、700件から800件を自分で手配りしていたり……
カク: 700〜800件を手配りで…!?
森本: 泥臭いですよね(笑)あとは大学にも直接営業に行ったんですが、売上の何パーセントかを大学にお支払いして構内で集客させてもらっても、1件取れるかどうか、というレベルで…。本当に厳しい状況でした。
カク: それだけ努力されていたのに、なかなか成果に繋がらないのは本当に辛かったですよね…。
森本: 正直、毎日が根性勝負みたいな感じで、成果が出るかも分からないまま、ただ数をこなす日々でした。『このままじゃダメだ』と焦りばかりが募っていって、完全にオフライン集客に限界を感じましたね。体力的にも精神的にもきつくて、このままじゃさすがにマズいなと。だからこそ、思い切ってWeb広告での集客にチャレンジすることを決めたんです。
カク: 一番最初にご依頼いただいたのは、ランディングページの制作と広告運用支援でしたよね。XでメンバーにDMされたと伺っています。
森本: そうなんです。FWHさんのことは前職時代からSNSなどでよく見ていて、「LPに強い会社だな」と思っていました。最初は別の会社にも相談していたんですが、レスがすごく遅くて…。free web hopeさんに連絡したら、すぐにミーティングを組んでくれて、とても印象が良かったんです。3ヶ月間こちらの限られたリソースを考慮していただきながら、しっかり成果も出してくださいました。
カク: ありがとうございます。ご支援が一区切りしてからは、ご自身で広告を運用されていましたよね。実際にやってみてどうでしたか?
森本: 想像以上に苦戦しましたね。正直、最初は「とにかくやってみる」しかなくて、LPも自分でCanvaで作ってみたり、広告の設定も一から調べて手探りでやっていました。でも、どこをどう改善すればいいのか、何をもって成功とするのかも分からず、思うような成果が出ませんでした。 数字を見ても「これでいいのか?」と不安ばかりで、結局、限界を感じてしまって…。やっぱりプロの視点やノウハウが必要だと痛感しました。
昨対比227%。事業の成長を生んだ伴走支援の全貌
カク: そこから、私が担当として再びご支援させていただきました。まずは、取り組みの中で感じた成果や手応えについて教えていただけますか?
森本: 数字の面では、昨年同時期対比で売上は227%、獲得予約は168%、成約は245%を達成しています。これらの成果はほとんど広告経由で発生していて、特に振袖の繁忙期にしっかり成果を拾えたのが本当にうれしかったです。去年だったら、広告をやっていてもこれほどは拾えていなかったと思いますし、現場の空気も大きく変わったと実感しています。
カク: この数字を最初に見たときに私も本当にうれしくて、今でもそのときの気持ちを鮮明に覚えています。成果の要因についても森本さんの視点からお話いただけますか?
森本: 広告のターゲットを見直して「親御さん世代」に訴求を強めたことが大きかったです。最初は学生さん本人向けのメッセージが多かったんですが、カクさんから「親御さんの方が予約後のコミュニケーションも取りやすいですよ」とアドバイスをもらって、実際に親御さんからの予約が増えました。サイトの動きも明らかに良くなって、フォーム遷移率が7.95%から13.88%、完了率も8.61%から17.77%まで上がりましたね。
森本: 他にも、サービスへの満足度が高いおかげで紹介が少しずつ増えてきたり。あとは時々ですけど結構単価の高いお客様が入ってきたりもしています。さらに面白いケースでは、振袖の相談に来てくださったお母様が、うちをきっかけに着物に興味を持ってくださって、着付け教室に通い始めてくれた方がすでに3名もいるんですよ。着付け教室はちょうどこの4月に開講したばかりなので、これは想定外のうれしい成果ですね。
カク: なんとそこまでの波及効果が…!コンサルタントの冥利に尽きます。今回の支援で価値を感じていらっしゃる点についてもお聞きしたいのですが、どうでしょうか?
森本: 一番は広告の流入からLPでのコンバージョンまで、通貫して見ていただけるところですね。単に広告を運用するだけでなく、その先の成果まで一緒に見てくれるという安心感がありました。
カク: 実際に一緒に取り組み始めて、印象に残っていることはありますか?
森本: PDCAの回し方やCVR改善において、ヒートマップなどを用いた具体的な改善提案にはすごく納得感がありましたし、単なる感覚値じゃない考え方の型を学べたのが大きかった。おかげさまで、来年以降の見通しが立てやすくなりました。 あとは些細なことなんですけど、カクさんのテキストコミュニケーション能力の高さは印象に残っています。箇条書きで要点を整理してくれるから、とても理解しやすい。LPの修正も迅速に対応してくれて、外部のパートナーというより、本当に"チームでやっている"感覚がありました。
カク: うれしくて油断したら泣いてしまいそう、ありがとうございます(笑)支援というより、パートナーとして一緒に事業を育てる感覚で関われたと思っています。
森本: 例えるなら、先生でも戦友でもない。戦友よりさっぱりしたプロ。カクさん的にはここで「戦友です!」と言ってほしかったと思いますが(笑)でもそんな距離感が、すごくちょうどよかったんです。
来年は売上2倍。事業をもっと面白くする挑戦へ
カク: 今後の桂裳苑さまの展望について教えてください。特に、FWHに期待することは何でしょうか?
森本: まずは、今の会社の規模感と地域において、振袖事業だけで会社が成立する基盤を確立することを目指しています。振袖は毎年必ず需要がある事業なので、そこをしっかりと固めたい。それができた上で、新規顧客獲得が難しい趣味の呉服向け事業を拡大していきたいと考えています。振袖の集客については、来年、倍にしたいと強く思っています。
カク: 来年倍!力強い目標ですね。
森本: 1年間を通じて一緒に取り組みたいですね。これまでは繁忙期に注力して成果が出たのですが、閑散期をどう乗り越えていくか、そこを手伝ってほしいです。あとは、今回リスティング広告で成果が出始めたので、次はリスティング以外にMeta広告でも成果を確立させたいと思っています。それが実現できたら、LPなどの制作物もまるっとお願いして、制作から運用まで一貫して任せたいと考えています。年間を通じて、時期によってどういうニーズが生まれるかなど、さらに解像度を上げて一緒に取り組んでいきたいです。
カク: 森本さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!このプロジェクトを通じて、私自身も多くの学びや成長の機会をいただきました。
森本: こちらこそ、カクさんとFWHさんにはご依頼している金額以上の価値をいただいていると感じていて、本当に感謝しています。ゼロからWebマーケティングを教えてもらい、一緒に成果を出す喜びを経験させてもらいました。今後もFWHさんと共に、振袖事業のさらなる拡大、そして将来的な趣味の呉服事業の成長を目指していきたいです。
カク: 私も桂裳苑さまのパートナーとして、森本さまの目標達成に向けて全力でサポートさせていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!
編集後記:これは二人の覚悟が交差した物語
本記事の編集を担当している人事の黒須です。
このプロジェクトのはじまりは、2023年5月頃に森本さんから私宛に届いた1通のご相談DMでした。
「実家の呉服店を継承する形で転職し、振袖販売の事業を拡大するべくマーケティングチャネルを構築したいと考えており、free web hopeさんにお力添えいただけないかと思いご連絡させていただきました」
そんな言葉から始まったやり取りが、気づけばここまで深く、長く、濃くなるとは正直思っていませんでした。
桂裳苑さまの取り組みは、4代目である森本さんの挑戦そのものでした。
地元・奈良で95年続く老舗を継ぎ、Webマーケティングという未知の領域に真正面から向き合う。その背中には、ただの「施策」ではなく、「覚悟」が見えていました。
そしてもうひとつ、この事例には、もう一人の覚悟の物語があります。
今回、桂裳苑さまの担当を務めたカクさんは、2023年5月に韓国から単身で来日し、新卒としてfree web hopeに入社したメンバーです。
日本語も、マーケティングも、すべてがゼロからのスタート。
最初の1年間は、常にデスクには国語辞典が置いてあり、時折どこか不安げな表情で仕事をしていたように思います。
現在、コンサルタント3年目。
今回の桂裳苑さまとの取り組みを通じて大きく成長し、マーケターとしても一段と力をつけたように感じました。
4代目後継の挑戦と、異国から来た若手の覚悟が交差して生まれたこのプロジェクト。 私にとっても、ただの支援事例ではなく、心からこの仕事をやっていてよかったと思える時間でした。
これからも、桂裳苑さまの新たな挑戦と歩みを応援しています。
関連実績
- 株式会社Sanu 様PORTFOLIOSANU 2nd Home Co-Owners サイト制作
- 株式会社Sanu 様PORTFOLIOSANU 2nd Home Co-Owners LP制作
- 株式会社βace 様PORTFOLIOMinimal 10th Anniversary 10周年記念ページ
- 株式会社エアトリ 様PORTFOLIOエアトリ
- 株式会社ボローニャFC本社 様PORTFOLIOくまくまデニッシュ
- 株式会社βace 様PORTFOLIOMinimal - CHOCOLATE ADDICT CLUB -
- ワアク株式会社様 様PORTFOLIO昇降デスク
- Cucua 様PORTFOLIOランディングページ制作 | Cucua
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